住宅選びのアドバイス

一級建築士 佐久間順三さんのアドバイス

一級建築士 佐久間 順三の住宅性能を知って選ぼう!
新耐震基準で建てられていれば本当に大丈夫?

一級建築士 佐久間 順三 住宅メーカー各社は、地震対策にかなりの力を入れています。世界的に見ても日本の耐震基準が一番厳しいと言われるほどで、地震大国日本では1923年(大正12年)9月1日に関東大震災が起こったことから、1920年12月1日から施行されていた市街地建築物法を1924年に改正し、地震力に関して初めて規定しています。
 1950年(昭和25年)にこの市街地建築物法は廃止され、建築基準法が施行されています。その後、十勝沖地震の被害を受けて改正を行い、1978年の宮城沖地震後、耐震設計法が抜本的に見直され、1981年(昭和56年)6月1日に新耐震設計基準が誕生しています。
 この1981年を一つの境として、「旧耐震基準」「新耐震基準」の建物に分けられ、阪神淡路大震災では、「旧耐震基準」で建てられていた建築物の被害が多かったことは言うまでもありませんが、「新耐震基準」で造られた建築物が壊れなかったかといえば、すべてがそうだとは言えなかったのです。中には、住宅展示場で建てられていたものまでが、壊れてしまい、ブルーシートで覆われていた・・・という住宅もあったそうです。

 よく「新耐震基準」で建てられているから大丈夫、という方がいますが、今後起こることが予測されている東海、東南海、南海地震はマグニチュードが8を超す巨大地震です。エネルギーは阪神淡路大震災の10倍を超えると言われているほどで、「新耐震基準」で建てられた建築物であっても、どれだけ耐えられるのか、非常に不安要素はあります。いつも巨大地震が起こった後に耐震基準の改正です。多くの命が失われる前に、厳しくする必要性があるのではないか、そう思わずにはいられません。

 さて、ここで1つ知っておいて欲しいことがあります。例え「新耐震基準」で造られた建築物であっても、何年も経ってしまえば建物は「劣化」し、木造住宅であれば「白蟻」などによって、建てた当時の「耐震基準」ではなくなってしまうということです。阪神淡路大震災で壊れた住宅のうち、なんと83.9%に白蟻被害があったと言われるほどです。

阪神・淡路大震災で倒れた家の8割りはシロアリの被害を受けていた!!

巨大地震にでも耐えうる住宅を選ぶことは非常に大切です。関東大震災からもすでに90年近くになります。日本は至る所に断層が潜んでいます。まだ見つかっていない断層もたくさんあると聞いています。必ず地震は来ます。
 決して、住宅に押しつぶされて命を失うことのないよう、住宅選びを行ってください。


耐震工法vs免震工法、どちらがあらゆる災害に強い?!

 耐震工法は、建物自体の持つ耐震性で、地震に耐えるというものですが、免震工法は地盤と建物の間に免震装置を付け、地震力を免震装置によって軽減させ、建物の被害をなくしてしまうという工法ですが、どちらが巨大地震に対して、本当に有効なのでしょうか?

 免震工法の心配な点を挙げるとすれば、地震の縦揺れが起きた場合、免震工法では何の効力を持たないと考えられます。阪神淡路大震災でも縦方向の加速度は0.3G(300ガル)程度で、多くのメーカーが「大半の地震は縦揺れの加速度は1G以下」と言っていますが、2008年に起きた岩手宮城内陸地震では、縦方向の加速度がなんと3G(3000ガル)を記録しました。もし、免震工法の建物が建っていたら、浮き上がったかもしれないと考えられるのです。
免震工法の住宅

 もう1つ、免震工法は「風」に弱いのではないかと思われます。地震の揺れから免れるために、地盤と建物の間に免震装置を付けていることは最初に書きましたが、その装置の上に乗っている状態で、地震時に揺れる必要性があることから、強風が吹いてしまった時も揺れてしまうのではないかと思われます。台風などの強風が吹くときには揺れないようにし、地震が来る時には揺れるようにしなければいけないという矛盾があります。まだ、地震に対する実績も少なく、課題が残っている、そう思わずにはいられない状態です。

 一方の耐震ですが、もちろん構造体によって強さが違います。木造と鉄骨像では違いますし、鉄筋コンクリートでも違います。

では、どの構造体の耐震工法が最も地震に強いのか。

 私も建築士として多くの建築物に携わってきました。その中で筆頭を上げるなら、鉄筋コンクリート・パネルの壁式構造、箱型に組んだもので、一般的にWPC住宅と呼ばれる構造体が最も強いのではないかと思っています。この建物は、昭和35年辺りから住宅として供給され始めましたが、以降日本に発生した地震によって被害を被ったという報告が1軒もない、無被害だったという実績があるのです。

WPC住宅

 さらにこのWPC住宅は風にも強い。台風に対しても無被害という耐力を持っているだけでなく、水害にも強い。基礎がしっかりとして重量があるため、流されない。当然コンクリートは燃えないので、火にも強い。

現時点での災害に対する住宅の横綱は、WPC住宅と言えるのかもしれません。
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