住宅と災害

住宅と災害-白蟻-

住宅を襲う5つ(地震、台風、土砂災害、火災、白蟻)の災害
白蟻篇
■阪神淡路大震災で倒壊した住宅の83.9%に白蟻・腐朽菌被害
静かに忍び寄る魔の手・・・住宅は白蟻の食料!
木材に限らず侵食する白蟻の恐怖
日本種白蟻の防除が効かない外来種
静かに忍び寄る魔の手・・・住宅は白蟻の食料!

土壌面から発生した白蟻の蟻道(通り道)土壌面から発生した白蟻の蟻道(通り道)

  日本では「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」が一般的に知られていますが、現在16種類が確認されています。このうち、建築物に被害を加えるものは先の種類に加えて、「ダイコクシロアリ」「アメリカカンザイシロアリ」の4種類。世界中に生息している白蟻は2260種もあり、その中で建築物を加害するものは53種類ほどです。他の白蟻の多くは森林などに生息し、枯れた木材や落ち葉を食べて物質循環に大きな役割を演じてくれています。地球環境という視点に立てば、一概に白蟻は「害虫」とは言えないのかもしれません。

 白蟻は分類学上では、ゴキブリに近く、約3億年前から地球上に生息しています。

 白蟻は数万から数百万匹もの単位でコロニー(巣)を土の中に作り、そこから食料である住宅の土台や柱、梁などの柔らかい部分を食害しては、またコロニーに帰ってきます。表面を残して食べ進んでいくため、なかなか発見されず、被害に気付かないケースが多いのです。
 在来工法や2×4工法の住宅などは、布基礎や束柱に蟻道(ぎどう:白蟻が移動するためのトンネル。土や粘土に唾液や排せつ物を混ぜて作る)を構築し、土台から壁体内や根太、床板へと食害範囲を広げていきます。特に台所、洗面所、便所など、比較的水を多く使用するところに発生しやすいので、要注意が必要です。

 何千万円もの高価な住宅が知らない間に白蟻の食料になって蝕まれていたら・・・さらに白蟻被害の上に巨大地震が襲ってきたら・・・阪神淡路大震災で倒壊した住宅の実に8割以上に白蟻・腐朽菌被害が確認されています。
 白蟻にも強い住宅・・・住宅選びのポイントとして考えるべきテーマかもしれません。

木材に限らず侵食する白蟻の恐怖
 白蟻の被害は、大好物である木材だけだと思いがちですが、木材に限らず新建材、鉛版、畳、紙、ケーブル、立木、断熱材、コンクリート床下にまで被害が確認されています。わずかな隙間から入り込み、好物を探して歩き回ります。最近ではマンションでも白蟻被害が報告されることが増えてきています。

防湿コンでの白蟻発生写真断熱材に入りこんだ白蟻被害
防湿コンでの白蟻発生写真
断熱材に入りこんだ白蟻被害

日本種白蟻の防除が効かない外来種
 ここ最近、白蟻被害報告の中で目立ってきているのが「アメリカカンザイシロアリ」と呼ばれる外来種です。この「アメリカカンザイシロアリ」は1976年に東京都の江戸川区で発見されて以来、全国各地の沿岸部を中心に、散発的に発生しています。もともとはアメリカから家具などの輸入についてきたと考えられており、海外からの陸揚げが多い港近辺から広がりつつあるようです。

 この「アメリカカンザイシロアリ」の特徴は、「ヤマトシロアリ」や「イエシロアリ」のように水分の多いところを好まず、大きなコロニーや蟻道を作ることなく、乾燥した木材中に坑道を穿って小集団で生活し建物の乾材やタンスやピアノまでを食害します。地面からの侵入はなく、飛来してきますので、侵入経路の特定が難しく、「ヤマトシロアリ」や「イエシロアリ」のように床下や一定の高さまでの壁内の薬剤処理(イエシロアリは小屋裏まで)での完全な駆除は極めて困難な状態にあります。
 完全駆除を目指す場合、家屋全体をシートで被覆し、ガスを投薬し駆除するガス燻蒸処理による駆除方法となるため、コストも大きくなるうえ、侵入経路の特定が困難なことから、防蟻処理の施しようがないのが現状と言えるかもしれません。

玄関枠柱から玄関枠上までの白蟻被害壁内部に進行していた白蟻被害
玄関枠柱から玄関枠上までの白蟻被害
壁内部に進行していた白蟻被害

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