災害現地調査報告

台風26号 伊豆大島土砂災害[災害現地調査報告]

◆台風26号被害状況
  内閣府「平成25年台風26号による被害状況等より
主な24時間降水量(アメダス観測値)
東京都 大島 824.0ミリ 16日8時20分まで
東京都 大島北ノ山 412.0ミリ 16日8時20分まで
静岡県 天城山 395.5ミリ 16日9時30分まで
千葉県 鋸南 370.5ミリ 16日10時20分まで
茨城県 鹿嶋 362.5ミリ 16日14時10分まで
千葉県 香取 351.5ミリ 16日12時20分まで
千葉県 坂畑 336.5ミリ 16日11時20分まで
千葉県 成田 327.0ミリ 16日12時10分まで
千葉県 木更津 323.5ミリ 16日11時50分まで
千葉県 館山 321.5ミリ 16日9時40分まで

人的・物的被害の状況(消防庁調べ:10月18日7:00現在)

都道府県名 人的被害
住家被害
非住家被害
死者 行 方
不明者
負傷者 全壊 半壊 一部
破損
床上
浸水
床下
浸水
合計 公共
建物
その他
重傷 軽症
北海道             30   1 31    
青森県             3     3   2
岩手県       4     23 1   24    
宮城県     1 2 1   19   3 23   1
山形県             1     1    
福島県       1     8   7 15   2
茨城県     1 10 3 1 29 71 304 408    
栃木県     3 13 1 3 141   2 147    
群馬県     1 1     8     8    
埼玉県       8       23 128 151    
千葉県   1 2 16 2 3 33 203 493 734    
※東京都 22 27   2 30   1 2   33 3 15
神奈川県   2 1 4     17     17    
新潟県       3           0    
富山県     1             0    
長野県       1           0    
静岡県 1   5 3   1 8     9    
愛知県       2           0    
三重県     1             0    
鳥取県             1     1    
福岡県                   0    
合計 23 30 18 70 37 8 322 300 938 1,605 3 20
◆視察日
平成25年10月18日(金) 11:00伊豆大島 岡田港到着 〜 15:20岡田港出発
◆視察場所
第1班・・・大島町役場災害対策本部(東京都大島町元町1-1-14)〜元町2丁目・3丁目地区、ホテル椿園付近
第2班・・・元町神達地区・ホテル椿園付近
大金沢上流部で土石流が発生。何箇所も地すべりが発生したのがわかる。
幅900m、長さ約1200mにわたって広がり、下流域の元町神達地区を襲った。

「想定外だった・・・」

 最も被害の大きな神達地区で被災をした住宅の片付けをしていた方の口から漏れた言葉が、この「想定外」という言葉であった。この伊豆大島は観測史上最大の降雨量。800mm以上の雨が1日に降り、土砂災害が発生。16日夜の発表では17名が亡くなられ、43名の行方不明者の報が流れた。
「60年前にも災害があった。その時の教訓が生かされていれば、言い伝えられていれば・・・」と住人は語ったが、東日本大震災以降、災害は常に「想定の外」で起こることを学んだはずである。「想定」できないからこそ、災害なのである。この教訓を如何に生かしていくかが対策なのだが、今や地震は活動期に入り、台風・集中豪雨は年々巨大化する様相を見せている。竜巻しかり。日本は安全な場所などない、災害国家であることを強く認識すべきである。
 伊豆大島には約8,000年前から人々が住み始めたようだが、この街の歴史は三原山の噴火という他地域ではうかがえない災害に、台風、地震、火事が加わって年月が積み重ねられていたと言っていい。1927年から2008年までの島の歴史が記された「伊豆大島小史」には、記録された80年間に土砂災害で亡くなったという記録はない。1957年三原山の噴火で1人が亡くなっている。先の住人が「60年前の教訓が生かされていれば・・・」と語ったが、これはこの噴火災害のことを指しているようだ。この噴火災害の教訓は確かに生かされている。1986年の三原山の噴火時には1人の死者も出さずに、約1万人の島民を全島避難させたという経験がある。
 この80年間、土砂災害、土石流に対する経験が島民にはない。「初めての経験」だったと言える。

最初に出くわしたRC造が土砂・樹々を食い止めていた!

 車を置いた大島町役場から約300mで土石流を発見。ほとんど被害がないと思われていたRC造の建物の角を曲がると、そこは流されてきた樹々で溢れかえっていた。火山灰の土砂に飲まれ、その中で揉まれた樹々は革を剥がれ、電線などと絡まり合って積み重なっている。このRC造が上流から流れてきた土砂や樹々を食い止め、下流域の災害を未然に防いでいることは間違いがない。(この家の背景等は桑原さんのインタビュー内容を参照) この角地の住宅がRC造ではなく、木造住宅であったら、被害は下流域に及びさらに拡大していたに違いない。  このRC造から上部に目を転ずると土石流の被害が如何に大きかったか、という光景が広がっている。地図上ではいくつもの住宅が存在するのに、そこは土石流と樹々で覆われ、基礎のコンクリートを残しただけのものや住宅の残骸が堆(うずたか)く積み上げられている。今、自分たちが歩いているこの足元にも行方不明者が眠っているかもしれないとい恐怖を感じながらの視察である。
基礎を残し、流された家の跡
上部から流され粉々になった家から貴重品を探している


土石流が直撃した木造住宅で原形をとどめている住宅はほとんどない。今回の土石流の特徴として、火山灰土のため粒子が細かく、降雨が飽和状態に達した土砂は非常に速いスピードで住宅街に達し、家々を飲み込んでいったようである。住民は、火山灰土で水はけがよく、まさか土石流が発生するなど思いもよらなかったというのが本音のようだ。すでに乾き始めていた土石流は、風に舞い上がり始めていた。

非常に粒子の細かい火山灰土砂が特長だ
粒子が細かいことで家の隅々まで入り込む
無残にも1階部分がなくなった木造住宅
土石流の力は想像を絶する

何故、壊れる住宅ばかりを選ぶのだ!!

 災害現場に行くたびに思うことがある。何千万円もの大金を叩(はた)いて購入するマイホームなのに、何故、もっと慎重に、本当にあらゆる災害から強く、何十年も災害から耐えうる住宅を選ばないのかと。ましてやその住宅が崩壊し、その家とともに流され、今回のように今なお多くの方が土砂に埋まったまま、行方不明である。住宅被害を見ても今回の台風26号で全壊、半壊、一部損壊を加えると367棟もの住宅が被害に遭っている。建替え、もしくは修繕を行うにしても2重ローンを組まざるを得ない方も多いはずである。
 私は常々セミナー等で強調しているが、「自分が被災者になる確率を減らすことはできる」のである。その第一定義が、最も長い時間、日数を過ごし、命を預ける「家選び」だ。今回の土石流でもそうだが、コンクリート系の住宅は重量があること、コンクリート自体が強固であることなどの要素で、土石流にも流されず、食い止めることまでしている。
 冒頭にも書いたが、日本は災害大国である。地震、台風、土砂災害、竜巻などの自然災害に対して、何十年も壊れず、壊されず、住む人の命を守る住宅を選ぶことこそ、「自分が被災者になる確率を減らすこと」なのである。
地震の揺れに対して強く、津波に対しても堅牢に耐え、台風や竜巻の強風にもビクともせず、土砂にも耐えうる住宅はあるのだ。多くの災害現場に趣き、検証した中で最も災害に強い住宅は、コンクリートパネル住宅であることは断言できる。
 災害は他人事ではない。わが人生をもっと大切に生きるためにも、住宅選びの基本は「あらゆる災害から命を守れる住宅」であるかどうかを真剣に考えるべきである。
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