災害への備え

災害への備え [シロアリへの備え]

木造住宅が持つ、致命的な「弱さ」について考えよう
いつの間にか住宅がもろくなっていく……
アリの仲間ではなく、ゴキブリの仲間だった!
シロアリ発生を見分けるチェックポイント
繁殖をふせぐには、まずシロアリのエサを放置しない
防蟻処理は5年ごとに行わないと、効果が薄れていく
いつの間にか住宅がもろくなっていく……
 「住むならやはり木の家がいい」と考える人は多いのですが、残念ながら防災という観点に立つと、木の家の致命的な弱さが目についてしまいます。新築時は建築基準法の要件を満たし、地震にも強い頑丈な木の家であったとしても、年月がたつうちに、肝心の構造体にシロアリが発生したら、ひとたまりもありません。
 シロアリ被害にあうと、家を支える骨組みはスカスカの状態になり、強度は極端に落ちていきます。阪神・淡路大震災で倒壊した木造住宅にも、シロアリの害が数多くみられ、「シロアリこそ最大の住宅倒壊要因ではないか」といわれました。
 シロアリのこわさは、いつの間にか少しずつ住宅が弱く、もろくなっていくことです。一方、地震や台風、土砂崩れなどの自然災害は、いつ起こるか予測ができません。いざ災害が起きたとき、スカスカの骨組みの家では、命の危険にかかわってきます。
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アリの仲間ではなく、ゴキブリの仲間だった!
 シロアリは名前に「アリ」とついているものの、ゴキブリ目シロアリ科の昆虫で、ハチ目アリ科に属するアリの仲間ではありません。日本の本土に分布して住宅に害を及ぼすシロアリは、主にヤマトシロアリ、イエシロアリの2種類。ヤマトシロアリは北海道北部を除く日本全土で、イエシロアリは関東以西の温暖な土地でよく見られます。
 ちなみにイエシロアリは、国際自然保護連合(IUCN)のより世界の外来侵入種ワースト100に指定されています(台湾原産)。外来種では、最近、アメリカカンザイシロアリも増えてきており、要注意です。ヤマトシロアリはエサの木材が湿っていることを好むため、風呂場や台所、洗面所など湿った水回りに発生しますが、アメリカカンザイシロアリは乾いた材木(乾材=カンザイ)を好むため、建売住宅などによく用いられる輸入材のホワイトウッドについてきたり、輸入家具とともに日本に入ってくる例が報告されています。
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シロアリ発生を見分けるチェックポイント
 シロアリは光を嫌って土の中や木の中にすみ、コロニー(集団)をつくります。年に一度、春から梅雨にかけて成虫の羽アリとなって、新しい巣をつくるため群れをなして飛び立ちます。一般の人がシロアリ発生に気づくのはこの時期が多いようですが、羽アリが飛び立ったあとの住宅は、すでにさんざんかじられていてスカスカ状態……という場合も少なくありません。
 ちょうどこの時期は、ふつうのアリも羽アリとなって飛び立つので、一見紛らわしいのですが、アリの羽アリとシロアリの羽アリは、よく見ると明らかな差があります。
@シロアリの羽は4枚がほぼ同じ大きさで半透明、とれやすい。アリの羽は透明で、前の2枚が大きく後ろの2枚は小さい。
Aシロアリは寸胴で胴にくびれがない。アリは胸と腹の間がきゅっとくびれている。
Bシロアリの触角は数珠のように球がつながった形状。アリの触角は「く」の字に折れている。
 羽アリのチェックだけでなく、水回りの床がぶかぶかしたり、雨戸のたてつけが悪くなったりしたら、自分の目で床下や木材の状態を調べてみましょう。
 シロアリはエサとなる木材をひたすらかじりながら進みます。光や風を嫌うので、かじったあとには必ず土や排泄物を埋め込みます。外から見ると、木の隙間や割れ目に、細かく土が積まれた状態に見えます(これを蟻土=ぎど、と呼びます)。蟻土が見つかると、木の中にシロアリが繁殖している可能性大です。
 あるいは、シロアリは木の柔らかいところを好んで食べますから、かじられた後は、木の筋が模様状に残ります。そうした「筋だけ残った木材」を見つけたときも、シロアリがいる可能性大。専門家をよび、きちんと調べるべきでしょう。
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繁殖をふせぐには、まずシロアリのエサを放置しない
 シロアリは暗くて湿気の多い、暖かい場所を好みます。そこにエサとなる木材があれば繁殖に申し分ない環境となるわけです。ですから、施工時の木片や木くずを床下に残したまま片付けないでおくと、そこからシロアリが発生したりします。同じ床下でも風通しがよく、きちんと片づけられてエサの放置もない状態なら、シロアリ発生の危険性ははるかに低くなります。
 構造体が鉄やコンクリートなど、シロアリのエサにならない素材であれば安心ですが、それだけで万全なわけではありません。たとえば「うちは軽量鉄骨の家だからシロアリは関係ない」と思っていても、家の基礎が布基礎の場合、コンクリートだけでなく材木を敷くケースも多いわけで、そこにシロアリが発生したりします。
 床下の換気口が落ち葉で詰まっていたり、ゴミやクモの巣だらけだったり、ガーデニングの鉢やコンテナを置いてしじゅう水浸しにするのも、シロアリ好みの環境となるのでご法度。繁殖を防ぐには、まずシロアリのエサを放置しないことです。
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防蟻処理は5年ごとに行わないと、効果が薄れていく
 シロアリの害を防ぐための防蟻(ぼうぎ)処理は、土壌に薬剤を散布するものと、木材に薬剤を注入したり塗布するものの2種類があります。新築の場合にはこの両方を行うので、しばらくは心配ありませんが、やがて薬剤の効果は薄れてきます。一般的に、防蟻処理は5年ごとに行なわないと、効果の持続は期待できないといわれます。
 防蟻処理には、昔は亜ヒ酸を用いましたが、毒性が強いので現在は用いられていません。有機リン系殺虫剤であるクロルピリホスという薬剤の使用も、シックハウス症候群を引き起こすことが問題視され、2003年の建築基準法改正以降、使えなくなりました。
 以前よりは穏やかな効果の薬剤が主流になったとはいえ、家族に薬剤に過敏な人がいると心配です。防蟻処理を行う場合は、まず信頼できる業者を選び、事前に使用する薬剤や工法について、きちんと説明してもらうようにしましょう。現在は防蟻処理に、非有機リン系の薬剤や天然薬剤を用いるケースも増えており、土壌の上に特殊なシートを敷くなどの工法も採用され、効果を上げています。
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