防災住宅研究所

コラム

<コラム11>「異常気象」が叫ばれ始める中、台風15号の被害に、これまでの木造在来工法やツーバイフォー工法、軽量鉄骨工法等では「耐えられない」ことを実感。「防災住宅」の必要性を再確認。

発生した竜巻によって大きな被害を受けた千葉県市原市の民家

台風第15号は、9月7日から8日にかけて小笠原近海から伊豆諸島付近を北上し、9日3時前に三浦半島付近を通過して東京湾を進み、5時前に強い勢力で千葉市付近に上陸。その後、9日朝には茨城県沖に抜け、日本の東海上を北東に進んだ。

台風の接近・通過に伴い、伊豆諸島や関東地方南部を中心に猛烈な風、猛烈な雨となった。特に、千葉市で最大風速35.9メートル、最大瞬間風速57.5メートルを観測するなど、多くの地点で観測史上1位の最大風速や最大瞬間風速を観測する記録的な暴風となり、千葉県内を中心に多くの被害を発生させた。

下記は台風15号の被害状況だが、4万棟以上の住宅が被害に遭っている。11月9日(土)千葉県館山市で一般社団法人 防災住宅研究所主催の「防災対策セミナー」を開催させていただいたが、出席者の半数は台風15号によって自宅が損壊した方たちで、あるご夫婦は「全壊です。連絡手段が携帯電話しかない状態で、これから家をどうしていくか、緊急の問題でセミナーに参加しました」と切羽詰まっている状況であった。

 

被災された方たちには心からお見舞いを申し上げたいと思うが、今後どのような住宅を再建されるのか、私からアドバイスできることは、「今後も必ず、巨大台風、そして巨大地震は襲って来るということ。その時に、再び損壊しする住宅を建ててはいけない」ということである。

下記の表は、気象庁が発表している台風時の風の強さとその時の被害状況などをまとめたものである。

 

今回の台風15号では「猛烈な風」と呼ばれるほどの風速35km/秒が発生。この風速で「多くの樹木が倒れる。電柱や街灯で倒れるものがある。ブロック塀で転倒するものがある」とともに「住家で倒壊するものがある。鉄骨建造物でも変形するものがある」と書かれているが、現実、千葉県内を調査に行った折に、多くの木造家屋で屋根が損壊し、原形をとどめていないものや、大手住宅メーカーの新耐震基準の建物であっても、強風によって損壊を余儀なくされた建物も少なくなかったのが現実である。

大手木造住宅会社の住宅も強風によって壁が吹き飛んでしまった

今年からマスコミや専門家が挙って「異常気象」を連呼し始めたが11月13日には「人類は地球温暖化による『機構の緊急事態』に面しており、このままでは経済や社会に破局的な影響が生じる」と警告する論文を米オレゴン州立大学の研究者がまとめ、その趣旨に世界153か国、約11,000人の科学者が賛同すると発表がされたほどだ。

すなわち、今回の台風15号クラスの、あるいはそれ以上の台風が襲ってきても何ら不思議ではないという状況を知らなければ行けない。これまでの住宅工法では「耐えられない」ことを知り、私が提唱するWPC工法を活用した「防災住宅」の早急の普及を求めるばかりである。

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