防災住宅研究所

コラム

<コラム23>令和2年の災害を振り返る。風水害の脅威におびえた一年。その対策は?

令和2年は懸念されている南海トラフ巨大地震や首都圏直下型地震、あるいは他の地域での巨大地震が襲って来ることはなかった。その点においては住宅の損壊件数や死傷者数が膨大な数値を記録することはなかったが、風水害の脅威にさらされた一年であった。台風や豪雨等によって11,000棟以上の損壊住宅を発生させ、92人もの死者・行方不明者が出ている。
今年の災害現場調査は「令和2年7月豪雨」のみであったが、被災地の熊本県人吉市、球磨村等の非情な姿は、改めて人間の想像をはるかに超える自然の驚異を思い知らされ、現在の住宅工法では巨大化し襲い来る風水害に耐えることの厳しさを痛感。「防災住宅」の普及を加速度的に引き上げなければ、災害大国日本は大変な状況に陥ってしまうと実感した一年であった。

 

令和2年7月豪雨災害
令和2年7月豪雨災害

「のど元過ぎれば・・・」という諺があるが、「我が家」に損壊がなければ、今年発生し国民を恐怖に陥れた台風第10号の風速60m/sに我が家が飛ばされてしまうのでは・・・という不安も日々の生活が戻った安堵感に忘れ去っている方が大半であろう。
だが、何度も言うが「災害は必ず襲って来る」ことは間違いがない。被災した後に「防災住宅研究所児玉の言っていることを信じて防災住宅にしておけば良かった」と言っても後の祭りである。ましてや大切な家族を失ってしまったら、時計の針を逆回転させることはできないだけにいくら詫びても遅いのだ。
温暖化の進む現状に、21世紀の台風は、発生数は減るものの強大化していくことはスーパーコンピューター「京」の演算ではじき出されている。加えて巨大地震は必ず発生する。「我が家は対災害の一番の砦」であることをもっと真剣に考えておく必要性は迫っていることを自覚しなければいけない。

令和3年は巨大災害が発生することなく平穏であることを願っているが、自然災害は人間の願いとは別次元で発生する。来年は災害現場の調査が少ないことを祈るばかりである。

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