防災住宅研究所

コラム

<家を建てる人へ:その3>木造?鉄骨造?コンクリート造? 災害に本当に強い建築工法とは?

住宅の構造は基本的に「木造」「鉄骨造」「コンクリート造」この3つの構造に分けられます。中にはレンガ造、石造、ブロック造というのもありますが、一般的ではないのでここでは前述した3つを比較していきます。

木造住宅

現在建築されている中で最も多いのが木造住宅です。国土の7割が山々の日本は地理的背景もあり木造建築が主流。文化的に木造建築を当たり前に継承する要素もあるのかもしれません。木の持つ優しさや加工がしやすく設計の自由度が高いという面もありますが、何よりも価格的にも安く手が届きやすいというのが一番購入されている理由ではないかと思います。

鉄骨造

鉄骨造には軽量と重量があります。軽量鉄骨はおもに低層住宅に、重量鉄骨はおもに中高層住宅に使用されますが、鉄骨の厚さが6mm以上は重量、それ以下を軽量という区分けになります。木造に比べ耐震性能が高いといわれ、工場で大量に鉄骨を生産するため品質が安定し、完成品にばらつきがないというメリットがあります。ただ、木造住宅に比べ、コスト高になってしまう面もあります。

コンクリート造

コンクリート造にはRC造、SRC造があります、RCとは鉄筋コンクリートのことで、SRCとは鉄骨鉄筋コンクリートのことです。「防災住宅とは」のページで記載した壁式鉄筋コンクリートパネル組立造(メーカーによってはWPC工法:Wall Precast Concrete)もコンクリート造の一つです。低層住宅というよりも中高層住宅に多い工法ですが、台風直撃の多い沖縄県でもっとも多い住宅工法はコンクリート造です。以前は結露が出やすいなどの問題点がありましたが、空調システムや断熱システムによって解消され、快適な生活空間が得られるようになっています。遮音性能や断熱性能が高い一方、設計の自由度が低く、コストが高くなってしまうというデメリットもあります。

巨大台風接近時、「頑丈な建物に避難してください!」でどこに逃げる?

さて、近年「50年に一度の雨量」や「50年に一度の台風」など、特別警報が出されることが少なくありません。これは地域ごとに見た場合、数十年に一度という意味で、全国的に見た場合には毎年1~2回は発生している頻度となります。その時に「速やかに安全な場所に避難するか、近くの頑丈な建物に避難してください」とマスコミを通じて避難の呼びかけがされますが、皆さんは「頑丈な建物」と聞いて、どこに避難するでしょうか。
この「頑丈な建物」という言い方に、少し危険性があるのではないかと思っています。それは「頑丈」という基準自体に個人差があるためです。ハウスメーカーは「災害に強い」と言って、住宅を販売します。私は常々「災害に強い」という「強い」に基準がないことに問題があると指摘していますが、ハウスメーカーの言ったことを鵜呑みにし、住宅を購入。避難指示が出ても「我が家は安全」と避難しないケースがあるのではと危惧しています。
2020年9月初旬に「大型で非常に強い台風」で「過去最大クラス」と言われた台風10号は最大瞬間風速80m/sに達し、日本に接近するのではと言われ、早くから避難の呼びかけがされていました。
この時「頑丈な建物」と聞いて、木造住宅に避難する方はいたでしょうか。鉄骨系住宅はどうでしょうか。やはりコンクリート造で建てられた建物に避難を考えられるのではないでしょうか。
下表は気象庁の「風の強さと吹き方」ですが、「建造物」の欄に注目してください。

気象庁の「風の強さと吹き方」

 

風速40m/sの猛烈な風では、「住家で倒壊するものがある。鉄骨構造物で変形するものがある」とあります。ここで言う「住家」とは木造住宅と思われます。

令和元年台風19号の強風によって大破した木造住宅

前述したように台風の直撃が多い沖縄県の住宅は90%以上がコンクリート系の住宅で造られています。
耐風に関しては「コンクリート系住宅」が頭抜けています。では、他の災害に関してはどうでしょうか。

対地震は窓ガラス一枚も割れていない工法がある

対地震について、「検証阪神・淡路大震災:コンクリート系低層プレハブ住宅の被害」という調査報告があります。これに記載されている壁式鉄筋コンクリートパネル組立造(WPC工法:Wall Precast Concrete)は調査地域に存在していた495棟に関しすべてが、全壊・半壊どころか一部損壊もなく、無傷であったという報告がなされています(8棟は液状化により傾きあり)。また、この壁式鉄筋コンクリートパネル組立造は熊本地震をはじめ、他の巨大地震にも一部損壊もない(防災住宅研究所調べ)など、木造、鉄骨系住宅が多く損壊している中で特筆すべき強度を見せているのです。

阪神淡路大震災で無傷だったWPC工法の家

対津波・土砂災害は重量があることが需要!

またコンクリート造の建物は重量があることで、東日本大震災の5mもの津波にも流されず残っていることをたくさん確認しています。津波に被災地で残っていた大半の建築物はコンクリート系の建物でした。残念ながら他の工法では巨大津波に耐えることはできません。
土砂災害も同様で、2014年に発生した広島土砂災害で最も被害の大きかった広島市安佐南区八木では、鉄筋コンクリートで造られた3階建ての県営アパートが2~3mの土砂を受け止め、砂防ダムの代わりを演じていました。残念ながら木造住宅も鉄骨系住宅も土砂の持つ威力の前には無力で流され、多くの命を失ってしまっていました。

耐火性能、コンクリートは燃えません!

木と鉄骨とコンクリートを並べて、住宅火災の温度の約1100度で同じように燃やしたらどうなるでしょうか。以前、「木は燃えません」というようなCMをしていた木造住宅会社を思い出しますが、燃えないことはありません。間違いなく燃えます。鉄骨はどうかと言いますと、350度を超えたあたりから強度が落ち始め、温度が500度、800度と上がってくると変形が大きくなってきます。コンクリートはどうでしょう。コンクリートの種類にもよりますが、高温で熱せられると表面に剥離が現れるケースはあるものの、コンクリートは燃えません。木造、鉄骨造、コンクリート造のそれぞれのメーカーはいかに自社の構造が耐火に優れているかを書いていますが、耐火性能もコンクリート造の建物に分があるようです。

静岡県焼津市でわずか2mしか離れていない隣家の木造住宅が全焼したにもかかわらず燃えなかった壁式鉄筋コンクリートパネル組立造(WPC工法:Wall Precast Concrete)の住宅

私も多くの災害現場に足を運んできましたが、現在の建築基準法の中で建てられた工法の中で、災害に最も強い構造は「コンクリート造」と断言できるでしょう。その中でも壁式鉄筋コンクリートパネル組立造(WPC工法:Wall Precast Concrete)は突出して「災害に強い」と言え、全て地域の方々にオススメできる建築工法です。

コンクリート造の中でもオススメの壁式鉄筋コンクリート組立造の家が建てられるハウスメーカーについては、「防災住宅とは」のページでまとめています。

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