防災住宅研究所

コラム

<コラム16>4月12日~13日アメリカ南部で竜巻が発生し、33名が死亡。コロナウイルスで外出自粛の中を強襲。倒壊しない住宅工法であったら・・・。

(2013年オクラホマ州ムーア竜巻より)全壊した住宅

アメリカの南部、ミシシッピ州やルイジアナ州などの広い範囲で竜巻や強風が発生。およそ60個もの台風が発生した様子で、コロナウイルス感染拡大防止のため、外出自粛による措置が続く中、自宅で被災し、自宅が竜巻の強風によって損壊。損壊した建物の破損が住民を直撃あるいは強風によって飛ばされ、多くの死者が発生したものと考えられる。
私は2013年5月20日にオクラホマ州で発生したムーア竜巻を取材したことがある。竜巻が小学校を襲い、24人の死者と240人もの負傷者を出す大惨事であった。オクラホマ州は元々トルネード・アレイ(竜巻街道)と呼ばれるほど竜巻が多い地域であるが、住宅工法に関しあまりにも無頓着であることに驚いたことがあった。

それは何度も竜巻に襲われ、住宅が倒壊、多くの死者を出しているにもかかわらず、木造の2×4(ツーバイフォー)工法で建てられ、竜巻が襲うたびに破壊され、命を失う繰り返しをしているということだ。住宅だけでなく、病院なども軽量鉄骨と外壁は軽量発砲コンクリートで造られ、竜巻の通過に大破を余儀なくされている現実にもかかわらず、その工法を変えていないところである。

軽量鉄骨と軽量発砲コンクリートで造られ大破した病院
(2013年オクラホマ州ムーア竜巻より)軽量鉄骨と軽量発砲コンクリートで造られ大破した病院

この地域の住宅の庭には約1畳の大きさの対竜巻避難用のコンクリート製シェルターが埋められ、竜巻発生のニュースを知ると家族でこのシェルターに逃げ込み、竜巻の通過を待つのが一般的である。
地元の不動産屋に話を聞いたが「みんな竜巻のことなんか忘れたようにまた同じ工法で家を建てているよ」と苦笑いをしていたことを思い出す。

さて、災害の経験は多くの対応策を見つけ出してくれるが、アメリカの竜巻を他山の石としていてはいけない。日本もコロナウイルスの感染拡大阻止のために外出自粛が続いている中、もしここで巨大地震が襲ってきたらどうなるのか・・・考えただけでも恐ろしい。
コロナウイルスのストレスだけでも大変な中、巨大災害発生により自宅が損壊し、避難所に行かなくてはならなくなったら、親戚縁者を頼るしかなくなったら・・・外出自粛は有名無実化し日本中がパニックに陥ってしまう。自暴自棄になる人間も出てしまうのではないか・・・政府の危機管理はこのようなことを考える部門はあるのか心配になってくる。
だからこそ、私はどんな災害が襲ってこようが倒壊することなく「無傷」で家族の命を守り、被災直後も避難所に行くことなく自宅で生活ができる「防災住宅」が絶対に必要だと提唱している。
日本は災害多発国家であることを忘れてはいけない

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