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<防災アレコレ3>「耐震等級3」って、本当に強いの?

「耐震等級」の前に「地震に強い」の「強い」基準ってなに?

私はたまに住宅展示場に行って、住宅メーカーの営業社員が自社の住宅を販売するとき、どのようなトークで販売しているのかを勿論肩書は明かさずに訪問し、説明を聞いて帰ることがあります。
どの住宅メーカーも営業社員は入社後「説明トーク集」のようなものをしっかりと覚えさせられます。
特に「ロープレ(ロールプレイング)」と呼ばれる受け答えの反復練習を先輩に指導を受けながら行い、接客スキルや営業スキルを向上させてようやく住宅展示場で接客ができるようになるのではないでしょうか。
しかし中には他業種から初めて住宅業界に就職し、「建築」に詳しくない社員の方もいます。
「トーク集」に書かれている言葉の意味を調べることもなく、そのままお客様接客で使用しているケースが少なくないのではないでしょうか。

さて、「耐震等級3」です。
「わが社の住宅は最高ランクの耐震等級3ですから、災害に非常に強いことは間違いありません」と営業社員が説明してきました。本当に「耐震等級3」の内容を知って話をしているのかと思うことがしばしばです。
「耐震等級3」の前に、少し脱線させてください。
私は常々「災害に強い」という言葉に関し、「抽象的すぎる、『強い』の基準は明確でなければいけない」と言っています。
特に熊本地震後、住宅メーカーはこぞって「地震に強い」「災害に強い」を強調して販売をしています。

熊本地震で全壊した木造住宅

熊本地震で全壊した木造住宅

私の思う「災害に強い」基準とは「あらゆる災害から全壊・半壊だけでなく一部損壊のない『無傷』であってこそ、『強い』と言える」ということです。
熊本地震後に私は調査も含め熊本市内に9か月間住みましたが、その時テレビCMで次のようなナレーションが聞こえてきました。
「わが社の住宅は熊本地震で1棟も倒れませんでした!」
というものです。
この内容を聞いて“唖然”としました。「倒れませんでした=全壊がなかった」というだけで、半壊・一部損壊はあったということなのです。
皆さんはもし我が家が熊本地震で「一部損壊」の被害に遭ったとして「我が家は地震に強い!」と言い切れますでしょうか?
テレビ業界もCM等の考査基準に「強い」に対する明確な基準を導入するべきだと思いますがいかがでしょうか。

阪神淡路大震災で多くの新耐震基準で造られた住宅が損壊。さらに「強く」を目指して・・・

「耐震等級3」の話に戻りましょう。
耐震等級とは、住宅性能表示制度および耐震診断により、建物がどの程度の地震に耐えられるかを示す等級です。
建築基準法の耐震基準を満たせば「等級1」、その1.25倍なら「等級2」、1.5倍なら「等級3」となっています。
耐震等級を取得した住宅は等級に応じて地震保険料の割引を受けられたりもします。1995年に発生した阪神淡路大震災の住宅被害は約50万棟にも及びました。
中には「新耐震基準で造られた住宅」も多く損傷していたこともあり、「地震に対してさらに強く」を求め、下記「住宅性能表示制度」が作られたのです。
住宅性能表示制度とは2000年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下「品確法」という。)」に基づく制度です。
品確法は「住宅性能表示制度」を含む、以下の3本柱で構成されています。

1.新築住宅の基本構造部分の瑕疵担保責任期間を「10年間義務化」すること
2.様々な住宅の性能をわかりやすく表示する「住宅性能表示制度」を制定すること
3.トラブルを迅速に解決するための「指定住宅紛争処理機関」を整備すること

1の「瑕疵担保期間10年の義務化」ですが、中にはある住宅メーカーはさも独自に「10年保証」を物件に付け、それを売り物に出しているということもありました。
瑕疵担保責任とは、住宅メーカーに義務化されているもので、例えば、家屋を買ったが、シロアリがついて柱に被害があったというように、売買の目的物に隠れた瑕疵(通常では見つからない欠陥)があった場合、売主が買主に対して負う責任のことをいいます。 買主は、善意無過失(気がつかなかったことに落ち度はない)の場合に限り、損害賠償や契約の解除を求めることができます。

そもそも「耐震等級3」の建物にすると、巨大災害が襲って来ても「全壊」「半壊」「一部損壊」もないのでしょうか。


上記の表は国土交通省住宅局の「熊本地震における建築物被害の原因 分析を行う委員会」報告書からですが、建築基準法レベル(新耐震基準=耐震等級1)では40%の建物が一部損壊以上になっているのに比べ、「耐震等級3」の建物は16棟中2棟だけに損傷があり、確かに「対地震」に関し、強くなっていると言えます。ただ、残念なのは「損傷物件」が「0棟」ではなく2棟あるということです。一部損壊であっても修繕費に数十万円~数百万円も必要になり、大半が持ち出しになってしまいます。
また、築後30年経っても同じ強度が保てるのか、特に木造住宅はシロアリ等の問題もあり、経年劣化による強度退化が見られるのではないかと危惧しています。
私は前述したとおり「災害に強い」基準とは「あらゆる災害から全壊・半壊だけでなく一部損壊のない『無傷』であってこそ、『強い』と言える」のではないかと思っています。
ましてや「地震」だけでなく住宅を襲う「台風」「竜巻」「土砂災害」「火災」「シロアリ」などの災害に対しても「無傷」の強さを発揮してこそ、「本当に強い住宅」と言えるのです。
残念ながら多くの災害現場の現状を見た限りでは、「耐震等級3」の住宅であっても、今後巨大化してくると言われている台風や竜巻の「最大瞬間風速50~60m/s」が襲ってきたとき、木造住宅や軽量鉄骨住宅では「無傷」であろうとは思えないうえに、土砂が襲ってきたとき、木造住宅や軽量鉄骨住宅では受け止めることができず、流されないまでも損傷は免れないものと思われるのです。

つくば市を襲った竜巻によって屋根が飛ばされた軽量鉄骨住宅

つくば市を襲った竜巻によって屋根が飛ばされた軽量鉄骨住宅

私が「防災住宅」と認定している「WPC工法の住宅」は、少なくとも阪神淡路大震災以降の災害に対し、構造躯体は「無傷」なのです。
「無傷」と「強い」は似て非なるものなのです。

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