災害から守る

住宅が防災の要

(写真1)熊本地震で最も被害の大きかった益城町。新耐震基準で造られた木造住宅も全壊した

「住宅の耐震基準」は1978年に発生した宮城県沖地震の経験を踏まえて(死者28名、負傷者1325名、全壊家屋1183棟、半壊5574棟)、1981年に建築基準法を改訂し、「耐震基準」が作られました。
この「耐震基準」は以下のような内容になっています。

現在の「耐震基準」は巨大地震が襲ってきても「人命は守られるように・・・」という願いを込めた基準ですが、残念ながらその後に発生した巨大地震によって住宅の弱さを露呈してしまいました。
1995年に発生した阪神淡路大震災で亡くなった方6,434名のうち、約8割に当たる約5000名の方が住宅の倒壊による圧死で尊い命を失っています。2016年に発生した熊本地震でも2度目の震度7の直後にお亡くなりになった方49名のうち32名が同様に住宅の下敷きによる圧死でお亡くなりになっています。
阪神淡路大震災で倒壊した多くの建物は1981年の改定前の旧耐震基準で建てられた住宅が大半と言われていますが、新耐震基準の住宅も含まれていました。そこで2000年にさらに耐震基準の大きな改訂が行われ、現在の基準は新々耐震基準とも呼ばれていますが、熊本地震では最も被害の大きかった益城町で新耐震基準の住宅が99棟全壊するなど、新耐震基準で建てられているからと言って、安心して住むことができないのが実態なのです。
とはいえ、防災住宅研究所が推奨する「防災住宅」に簡単に買い替えることもできるはずもなく、今の住宅でいかに巨大災害から耐え凌ぐかが大事ということになってきます。

【1981年以前、旧耐震基準で建てられた建物の方へ】

あらゆる災害に対し、まさにレッドゾーン、最も危ない領域に入る建物です。新耐震基準に規定される前年の1980年に建てられた住宅でもすでに40年が経過します。まだ筋交いを入れる、金具で継ぎ手を補強するなどの耐震化を行っていない方は、自治体によっては補助金を出してくれる場合もありますので、まずは自治体に行って相談してみてください。無料で耐震診断をしてくれる場合もあります。


図①

筋交い等が少ないと上図①のように地震や風の水平力よりも耐力が低い場合、引き抜き力が発生し、倒壊につながるケースが少なくありません。この住宅は災害に対して最も弱いことを自覚し、1日も早く対策を実施してください。


図② 継ぎ手補強金具

旧耐震基準で造られた鉄骨系住宅も同様です。筋交い等の量も少なく、台風や風の水平力に耐えられず倒壊するケースも少なくありません。木造住宅同様に、まずは耐震診断を行い、耐震性能が低いと判定された場合には、筋交いを入れるなどの補強を行いましょう。

【築年数が20年以上の方へ】

例え新耐震基準で建てられていても、建物は年月の経過とともに劣化していきます。1981年の建築基準法改定後に建てられた住宅も、当然ことながら劣化は大敵です。特に高温多湿の日本では、木造住宅にとってシロアリや腐朽菌は脅威で、両者によって脆くなった柱を放置した状態で巨大地震等に襲われると倒壊の危険性は増加します。シロアリは暗くて湿気の多い、暖かい場所を好みます。そこにエサとなる木材があれば、繁殖に適した環境になります。羽アリを見つけたり、水回り近辺の床がフカフカになっていたりすると危険信号です。


シロアリに食べられると強度は落ちる

阪神淡路大震災で最も被害の大きかった神戸市東灘区の全壊住宅を調べたところ、シロアリ被害・腐食のある住宅の全壊率は93%にも上っています。
シロアリに我が家が蝕まれてしまった場合、早急な対応が必要です。専門のシロアリ業者にお願いし、必要な対策をしてください。

【家具等の転倒を防止する】

阪神淡路大震災で家具類の転倒による圧死によって600名近い方が尊い命を落としています。重要なことは、タンスなどの家具が置いてあるすぐ横で寝ないことです。テレビなども地震の揺れによって大きく移動します。もし頭の近くにあり直撃した場合、命の危険に陥る場合もありますから要注意です。
タンスなどの家具が置いてある場所で寝ないことが第一ですが、どうしてもタンス等の横で寝ざるを得ない場合は、L字金具等によって家具の固定をしましょう。つっかえ棒での固定は震度7が襲った場合、耐えきれないケースが多いのも知っておいてください。