防災住宅研究所

被災地調査報告

広島県内死者100人を超える大惨事!

平成30年7月豪雨被害状況

死者224名、行方不明者8名、負傷者459名(重傷113名、軽傷343名、程度不明3名)
住家全壊6,758棟、半壊10,878棟、一部破損3,917棟
床上浸水8,567棟、床下浸水21,913棟など
(平成30年11月6日現在、平成30年度消防白書より)

概要

平成30年6月28日以降、華中から日本海を通って北日本に停滞していた前線は7月4日にかけ北海道付近に北上した後、7月5日には西日本まで南下してその後停滞。また、6月29日に日本の南で発生した台風第7号は東シナ海を北上し、対馬海峡付近で進路を北東に変えた後、7月4日15時に日本海で温帯低気圧に変わった。
前線や台風第7号の影響により、日本付近に暖かく非常に湿った空気が供給され続け、西日本を中心に全国的に広い範囲で記録的な大雨となった。
6月28日から7月8日までの総降水量が四国地方で1800ミリ、東海地方で1200ミリを超えるところがあるなど、7月の月降水量平年値の2~4倍となる大雨となったところがあった。また、九州北部、四国、中国、近畿、東海、北海道地方の多くの観測地点で24、48、72時間降水量の値が観測史上第1位となるなど、広い範囲における長時間の記録的な大雨となった。この大雨について、岐阜県、京都府、兵庫県、岡山県、鳥取県、広島県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県の1府10県に特別警報を発表し、最大限の警戒を呼びかけた。

被害状況
広島市安佐北区口田南
広島市安芸区矢野東6丁目
広島市東区温品 河川土手が崩壊し、基礎がむき出しになった木造住宅
広島市東区馬木 小さな溝が濁流となり、1階がえぐり取られた木造住宅
広島市安芸郡坂町小屋浦 上流から鉄骨工場が流され橋に掛った
広島県呉市天応 土砂だけでなく多くの石が街を埋めた
広島県竹原市 土石流が民家を押し流した
岡山県倉敷市真備町 下線の氾濫によって街が水没した
現地調査

広島県内だけでも108人の死者と6名の行方不明者、住宅被害は14,109戸に及び、土砂災害発生個所は20市町に渡る484カ所(数値は広島県発表(hiroshima.lg.jp))もあり、広島県内の調査だけでも4日間を要した。広島県は2014年8月20日にも広島市安佐南区を中心とした土砂災害によって77名の死者を出しているが、その日からわずか4年で再び大惨事となった。
また岡山県倉敷市真備町は高梁川の支流(小田川)が決壊。街全体が水没し、51名もの死者を出したが、この水没エリアがまさに倉敷市が作ったハザードマップ通りであったことから、ハザードマップの重要性と、その状況に対する避難対策が注目された。下の図は国土交通省「平成30年7月豪雨災害の概要と被害の特徴」(mlit.go.jp)からの抜粋であるが、氾濫エリアとハザードマップがほぼ一致していることがわかる。

土砂に流された住宅の大半が木造住宅と鉄骨系住宅

山の頂上付近、あるいは中腹から一気に流れ落ちてくる土石流によって、多くの住宅が流され損壊していたが、そのほとんどが木造住宅や鉄骨系住宅で、コンクリート系住宅の被害を見ることはなかった。
なかでも防災住宅研究所が注目をしている壁式鉄筋コンクリートパネル組立法(WPC工法)の住宅は崖条例地域に建設されていた住宅の裏山が崩壊。WPC工法の住宅を襲い外設置のエコキュート等は損壊したものの、構造躯体に損傷はなかった。また、安芸郡坂町水尻のWPC工法の住宅も土砂に襲われ窓ガラスに損壊はあったものの、構造躯体に損傷は全くなかった。

崖条例地区の裏山が崩壊し土砂に襲われたものの損壊なし
広島県安芸郡坂町水尻 土石流に襲われたものの、構造躯体に損傷はなし
床下に入り込んだ汚泥撤去で明暗

災害後1週間が経過した時点でも現地に入ったが、床下に入り込んだ汚泥の撤去がどの被災住宅も大変な状況であった。床下をはぐり、土砂のかき出しから始め、撤去が終わったところで洗浄し、乾かし・・・といった手順を踏まなければいけないが、自治体から土砂撤去にバキュームが貸し出されるものの半日程度しか貸してくれず、全く追いつかない状況。ボランティアによる撤去に頼らざるを得ず、なかなか進まない状況であった。
一方、WPC工法の住宅の住宅は床下のない「地熱利用強化基礎工法」を採用しており、床下がないため、土砂が入り込むこともなく、被災後の修復時間に他の工法とは雲泥の差があった。

広島県安芸郡坂町小屋浦WPC住宅 床下がないため修繕時間、費用とも他の工法よりも非常に少なくて済んでいる
広島県安芸郡坂町小屋浦鉄骨系住宅 床下の汚泥撤去に非常に苦労し、修繕費も高くついた

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