<コラム14>神奈川県以西の太平洋沿岸部の県に、30年以内に3m以上の津波が襲う確率は26%以上。防災科学技術研究所が「津波ハザードステーション」を公開。
http://www.j-this.bosai.go.jp/map/
東日本大震災の津波映像を検証すると、木造住宅、軽量鉄骨住宅等は1.5mを超える津波に襲われると、流され始めていたものが多い。
今年2月21日に防災科学技術研究所が、南海トラフ沿いの地域が今後30年以内に津波に襲われる確率について、地域ごとの詳細なデータを確認できるウェブサイト「津波ハザードステーション」を公開した。南海トラフ沿いの地域が今後30年以内に津波に襲われる確率が地図に示されている。このデータでは、住宅が流失・全壊し始めるとされる津波高さを3メートル以上としているが、コンクリート系の建物は3m以上の津波が襲ってきても流されていないケースが多かったことを付け加えておきたい。
南海トラフ沿いの地域が今後30年以内に3m以上の津波に襲われる確率は四国、近畿、東海を中心に広い範囲で非常に高い「26%以上」となっており、地図を拡大すると50メートル四方ごとの詳しい確率を見ることもできる。
これらの確率には、発生頻度が分かっていないマグニチュード9.1の最大クラスの巨大地震による津波は含まれておらず、より発生頻度が高いとされる津波が対象となっている。防災科学技術研究所は、「最大クラスの津波への備えも重要だが、発生確率の高い津波のリスクを知って、どれだけ備えが進んでいるのか改めて検証する材料にしてほしい」としている。
さて、自分がどれほど津波に対し危険な地域に住んでいるのかを知ることは非常に重要なことだが、さらに重要なことは、実際3mを超える津波が発生したときに、どのように対処し、家族の命を守るのかが重要であることは言うまでもない。
残念ながら「津波」という強大な外力に対し、木造住宅、軽量鉄骨住宅等では構造上耐えきることができない。どこを震源地として巨大地震が発生するかによって、津波の到達時間が大きく変わってくるが、静岡県沿岸部などは津波到達時間が地震発生から3~5分とも言われ、地震発生が深夜の場合、停電も発生した真っ暗な中、避難タワー等に逃げ込むだけの時間的余裕があるのか不安が残る。静岡県内では浮遊するシェルターなども販売されているが、安全性の確証はない。
当研究所が推奨しているのは、WPC工法と呼ばれるコンクリート・パネル工法の住宅の屋上に設置されたペントハウス内に防水シートを張り、密閉度をあげ、さらに漁船で使用する水が入らない扉を採用した津波対策シェルターペントハウスを設置したWPC住宅である。
上記防災科学技術研究所研究所内で行われた同シェルターペントハウスの振動・水没実験に所長の児玉は実際に参加。水没させたシェルターペントハウス内で2時間以上にわたり、室外のマスコミと中継をした経験を持つ。
百年住宅株式会社(静岡市駿河区大谷2丁目20-23)が販売するこの津波対策シェルターペントハウスは既に100棟以上、静岡県沿岸部で設置されている。
津波対策は容易ではない。東日本大震災の津波にも流されなかった実績を持つWPC住宅だけに、自宅の上部に逃げ込めばいい縦移動だけのシンプルなこのシェルターペントハウスの設置は大きな対策になるのかもしれない。
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