防災住宅研究所

被災地調査報告

藤田スケール2の巨大竜巻で千戸以上に損壊!

発生年月日

2012年5月6日 午後0時45分ごろ

被災地

茨城県つくば市

規模

藤田スケールF2

被害状況

藤田スケールF2の巨大竜巻で1000戸以上に損害!
(1) 人的・住宅被害の状況(5月7日21時消防庁災害対策室発表)

人的被害 住宅被害
死者 重症 軽症 全壊 半壊 一部損傷
茨城県 1人 39人 170棟 208棟 464棟
栃木県 11人 9棟 17棟 266棟
群馬県 1人
埼玉県 1人
千葉県 3人
富山県 1人 2人
合計 2人 1人 56人 179棟 225棟 730棟

またもや巨大災害によって尊い命と多くの住宅が失われた。ゴールデンウィーク最終日の5月6日午後0時45分ごろ、茨城県つくば市や栃木県真岡市などで竜巻が発生。住宅を直撃し、茨城県・栃木県両県で1000棟以上もの住宅被害(一部損壊以上)が発生した。最も被害の大きかった茨城県つくば市では幅約500メートル、7.5kmにもわたって台風が襲い、自然の脅威をまざまざと見せつけた。東日本大震災発生から1年2か月。心が癒えぬ間にまたしても巨大災害。災害に無傷の住宅が望まれていることは間違いがない。

※F(藤田スケール)2:(約7秒間の平均風速が50~69m/s)住宅の屋根がはぎとられ、弱い非住宅は倒壊する。大木が倒れたり、またねじ切られる。自動車が道から吹き飛ばされ、また汽車が脱線することがある。

電柱は倒れ、屋根は台風によって引きはがされた状態の住宅が続いた。天災の前に日本の住宅家屋は実に無力だ
看板だけでなく、屋根が剥がされ部屋の中から空が見えるようになった店舗。
手前の住宅は崩壊。奥の住宅も補修費に数百万円かかりそうだ。

台風の威力で住宅が倒壊。基礎が襲い、中学生が死亡
あまりにも悲しい状況に愕然とした。台風によって住宅が基礎ごと浮き上がり、転倒。住宅によって中学生が押しつぶされ亡くなった。住宅が飛ばされた跡を見ると、基礎杭も見当たらず、単に基礎を土地に乗っけただけであることがわかる。人災ではないのか!
またしても命を守るべき住宅によって、殺されてしまったのである。
確かに竜巻だけでなく、地震やあらゆる自然災害は恐怖だ。とてつもない破壊力を持って襲いかかってくる。「自然と戦うことはできない、しょうがない」で済ましていいのか、と思う。大手住宅メーカーも地震対策等を行っているが、真に巨大災害に強い住宅はどのような工法なのか、消費者が確かな目を持って選ぶ必要性がある。「大手だから安心」ではない!

台風によって住宅が基礎ごと浮き上がり転倒し、この中で中学生が死亡した。
WPC住宅は躯体損傷なし!

つくば市北条 WPC住宅(別棟で食堂を経営)にお住いのご夫婦の話
とにかく、すごい轟音と強風でした。「竜巻だ」と思ったとき、とっさにこの家の中に入れば大丈夫と思い、「みんな家の中に入れ」と、叫んでいました。もともと地震が怖く、このコンクリートパネル住宅ならば、地震や災害に強いということで平成7年に建てました。以前の木造住宅だったらどのようになっていたか・・・想像するだけでも恐ろしくなってきます。
竜巻は唸りを上げながら、次第に近づいてきました。この家からわずか5メートルにあった小屋は(鉄骨と木造)全壊の状態です。さらに風が回っていたんだと思いますが、食堂の表の看板が壊れたのと、食堂の前に置いていた車が4台、壊されてしまっていました。この家はペントハウスの扉と屋上の柵が一部壊れてしまいましたが、中は何ともありません。パルコンさんの話だと、保険で治るのではないかということでした
わずか数秒の出来事だったと思います。本当に怖い思いをしましたが、この家に住んでいて本当に良かったと思います。少し値段は高かったですが、命を守れたことや今回の台風で我が家が壊れなかったことを考えると、この住宅を選んで本当に良かったと思います。

ペントハウスの窓と屋上の柵が破損したものの、躯体構造には損害のなかったWPC住宅。
WPC住宅と死者の出た住宅とはさほど離れていない。

■軽量鉄骨住宅
大手住宅メーカーの軽量鉄骨住宅も台風の前には無力を露呈した。被災直後から住宅メーカー社員が屋根に上り、復旧を急いだが半壊状態では建て替えの必要性も。

■軽量ボード住宅
台風によって巻き上げられた物体が当り、外壁にいくつもの小さな傷跡がみられた。外壁の一部がはがれ、白くなっていた。

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