防災住宅研究所

被災地調査報告

観測史上最大M9.0。巨大津波で壊滅状態に!

発生年月日

2011年3月11日 午後2時46分

地震名

東日本大震災(4月1日閣議で了解)

震源地

三陸沖(牡鹿半島の東南東約130km付近、北緯38度6分12秒、東経142度51分36秒)

震源の深さ

約24㎞

規模

M9.0

最大震度

7(宮城県栗原市)
6強(宮城県涌谷町、登米市、大崎市、名取市の他、宮城県、福島県、茨城県、栃木県の4県28市町村)
6弱(岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県の市町村で観測)

被害状況

(警察庁発表)

人的被害
死者 13,232名
行方不明者 14,554名
負傷者 4,756名
住宅被害
全壊 59,493棟
半壊 12,009棟
一部損壊 154,390棟
合計 225,892棟
被害状況

3月28日 宮城県栗原市~大崎市~多賀城市~名取市

震度7の激震の中にもコンクリートパネル住宅は無傷の状態で建っていた(栗原市)
木造住宅はシロアリに浸食されていることが多い。実に脆い(大崎市)
津波の外力の前に脆くも流される木造住宅(多賀城市)
軽量鉄骨住宅も津波の前にはなすすべもない(多賀城市)
津波によって壊滅的な被害を受けた名取市閖上地区
木造住宅の大半が基礎を残し、建物すべてが流された(名取市)
大手軽量鉄骨住宅のフレーム。見事に折れ曲がっている(名取市)
築40年を経過するも津波に流されず残るWPC公営住宅(名取市)

3月29日 宮城県気仙沼市~岩手県陸前高田市

巨大タンクがいくつも流されていた(気仙沼市)
気仙沼港から撮った市街地風景。(気仙沼市)
流出した油によって火災が発生。津波で流された住宅が燃えた(気仙沼市)
巨大な船が陸地数キロまで運ばれていた(気仙沼市)
2万数千人が住んでいた街が津波によって壊滅状態に(陸前高田市)
コンクリート系の建物を残し、大半が津波によって運ばれた
瓦礫の山が数キロにわたって続いた
日本の住宅を根本から考える必要性がある

3月30日 千葉県浦安市

液状化によって傾いた住宅
地盤が数十センチ沈下している
下水道が地震発生から1か月以上止まっている
30センチ以上傾いている

見渡す限り瓦礫が続く…言葉が出ない…自然災害の恐ろしさを目の当たりにした。これまで多くの災害現場に足を運んできたが、これほどの範囲で、人々の生活が一変した光景を見たことがない。お亡くなりになられた方には心からお悔やみを申し上げるとともに、被災されたからに心からお見舞い申し上げます。
災害現場に足を運び、いつも思うことがある。地震の前に、津波の前に、日本家屋はなんと弱いことか。地震によって破壊された、津波によって流された家々を見て、住宅メーカーは何を思っただろうか。責任は感じていないのだろうか。確かに30数メートルの津波に対処すべきは、都市計画なくして考えられないが、地震大国日本にあって、過去何度も大災害を被ってきているのに、またも多くの命が奪われ、20万棟を超える住宅が破壊されている。常に人命が窮地にさらされている状況なのに、同じ繰り返しをしてはいないか。
何度も主張しているように、地震、津波、台風などの災害に最も強い家は、鉄筋コンクリートパネルを箱型に組み上げたWPC住宅である。今回の視察でも、WPC住宅は震度7の激震とでも壊れることなく無傷であった。
さらに周りの木造住宅や鉄骨住宅が津波によって大半が流される中、築40年を経過するWPC公営住宅は流されることなく、残っていたのである。
今後、海岸線から数キロはWPC住宅やコンクリート系の建物以外建ててはならないなどの都市計画も必要ではないか。瓦礫の山となった木造の撤去もすべて税金である。流されず、中を改装して使用できれば、多くの税金を使わなくても済む。災害大国であることを直視した、現実的な住宅の実現が求められている。

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