能登半島地震 / 災害現場視察報告
■視察場所 : 石川県珠洲市
■発生日時 : 2023年5月5日
■最大震度 : 珠洲市 震度6強(M6.5)
■取材日時 : 2023年5月8日
■現地調査 : (一社)防災住宅研究所 児玉、奥村
5月5日 14 時 42 分に石川県能登地方の深さ約 10km でマグニチュード(M)6.5(暫 定値)の地震が発生した。この地震により石川県で最大震度6強を観測し、被害を伴った。また、石川県では長周期地震動階級3を観測した。この地震の発震機構は 北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地殻内で発生した地震である。
■被害状況
■現場状況
2007年3月25日に能登半島沖の深さ11kmでマグニチュード6.9の地震が発生し、石川県七尾市、輪島市、穴水町で震度6強を記録した時には住宅の全壊686棟、半壊1,740棟、一部損壊26,956棟があったが、今回の被害は珠洲市に集中。住宅の損壊棟数も少なかったが、前回同様損壊していた住宅は木造の旧耐震基準当時に建設されたものが大半であったように見受けられた。
被災者の話を聞くと、横に20~30秒程度揺れを感じたようで、筋交い等の少ない築年数が50年を超えるような住宅に多くの損壊が発生した。
■珠洲市被災住宅
住宅は基本的に時間経過とともに経年劣化する。近年、古民家の改修などが人気のようで、それ自体は非常に良いことだが、耐震化をしていない古民家は、今回の珠洲市の状況を見るように非常に危険であることがわかる。
現在の建築基準法は、命と財産を守るための「最低の基準」と明記してある。ゆえに、災害に対する技術は住宅メーカーに委ねられていることを知らなくてはならない。しかし、今回の能登半島での地震では存在しなかったが、「災害に強い」と宣伝している住宅メーカーが熊本地震では木造、軽量鉄骨ともに全壊している現実があることを知らなくてはいけない。長きにわたってどんな災害が襲ってきたとしても、全壊・半壊だけでなく、一部損壊もない住宅であってこそ、初めて「災害に強い」言えると思うがいかがだろうか。