防災住宅研究所

被災地調査報告

土砂の威力は容赦なく木造住宅を押し流す!

長野県岡谷市豪雨災害

●発生年月日  2006年7月15日~19日

●概要
本州に停滞した梅雨前線が活発化した影響により、長野県内では15日から雨が降り続き、18日夕方以降強い雨雲が長野県中部から南部にかけて広がり、大雨となった。
岡谷市では、降り始めの総雨量が200mmを超え、土石流発生直前の19日午前2時には累計雨量292mmを観測。その後の2時間にわたり30mmの時間雨量を観測するほどの豪雨が続き、小田井沢川、八重場沢川が氾濫し、土石流が発生。湊花岡区や川岸橋原区を襲った。

●被害状況

(1) 人的、住宅被害等

人的被害
死者 8名
行方不明者 0名
負傷者 12名
住宅被害
全壊 10棟
半壊 17棟
合計 27棟

2006年7月21日、22日 現地調査

 静岡県に流れる天竜川の源流を持つ諏訪湖。この湖畔を伝いながら災害現場に向かったが、土石流が起こった地点まで2km程度ある道路が、20cm近く土で埋まり、運ばれた木々が道路上に散乱している。土からは糞尿の匂いも漂い、あらゆるものが土石流によって運ばれたことがわかる。車などもいとも簡単に運ばれ、原形をとどめていない。想像がつかないほどの破壊力を持っているようだ。

土砂の威力は容赦なく木造住宅を押しつぶす

 民家を押しつぶし、死者が出た小田井沢川の災害現場は、家が原形をとどめていない。外力に対して弱く、粘性を持たない木造の在来工法では、一瞬にして押しつぶされてしまう。土石流等の危険個所が全国的に多いだけに、土石流にも流されない家に必要性を感じずにはいられない。木造住宅や鉄骨系の住宅では、壁量も少なく、住宅そのものの重量 も少ないことから、土砂を受け止めることは不可能のようだ。

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