防災住宅研究所

被災地調査報告

宮崎県内だけで1,500棟弱の住宅が損壊!

宮崎県延岡市、日向市、日南市竜巻被害

●発生年月日  2006年9月17日 午後2時ごろ

●概要
9月10日21時にフィリピンの東海上で発生した台風13号は発達しながら北西に進み、16日早朝石垣島付近を通過。17日には中心付近の最大風速40m/sという強い勢力で九州地方に接近。14時ごろ宮崎県延岡市で発生した突風は、細長い帯状の幅150~250m、長さ7.5kmの地域で被害が見られ、推定した風向の分布や聞き取り調査から、今回の突風は、竜巻によるものと判断された。(藤田スケールF1)

(1) 台風13号による人的・住宅被害の状況(消防庁調べ)

都道府県名 人的被害(人) 住宅被害(棟)
死者 行方不明 負傷者 全壊 半壊 一部損壊
北海道     1     126
鳥取県           1
島根県     1     29
岡山県            
広島県 1 1 7 4 6 27
山口県     14   4 61
愛媛県     1      
高知県       2    
福岡県 1   71 2 14 1,573
佐賀県 3   31 7 8 2,906
長崎県     68 3 73 5,079
熊本県     14   2 65
大分県 1   8 1 1 92
宮崎県 3   152 117 354 981
鹿児島県     14     36
沖縄県     66 23 52 245
合計 9 1 448 159 514 11,221

※藤田スケール : 竜巻、マイクロバーストなどの強い風の尺度として世界的に用いられており、F0からF5の6段階に区分されている。ちなみに今回の竜巻F1は、33~49m/s(約10秒間の平均)の強風が吹き、屋根瓦が飛び、ガラス窓が割れる。ビニールハウスの被害甚大。根の弱い木は倒れ、強い木の幹が折れたりする。走っている自動車が横風を受けると、道から吹き落される。

2006年9月19日~21日 現地調査

宮崎県内だけで1,500棟弱の家が竜巻被害

 「竜巻の通り道」としばしば言われるが、高台からみると竜巻が通った後は、ことごとく屋根が飛ばされ、一本の道と化している。加えて、瓦や木材など、竜巻によって破壊され巻き上げられたものが、ものすごい速度で襲ってくる。延岡市ではJR羽越線の列車が横倒しにされ、多くの車もまるで掴んで投げられたかのような惨状を見せている。
 公園では大きな木々が根っこから倒され、アパートは屋根がすべて吹き飛ばされ、きれいな青空が覗いていた。
竜巻は台風に伴う積乱雲でその多くが発生する。平成20年3月26日から、気象庁が「竜巻注意情報」を発表してくれるため、軌道から逃げたり、雨戸やシャッター、カーテンを閉めるなどの竜巻対策を取ることは可能になったが、竜巻の多発が予測される地区は、竜巻によって飛ばされない屋根の開発、飛来物にも強い壁の開発が必要である。

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