防災住宅研究所

コラム

<家を建てる人へ:その6>間取り①広いリビングは危険度も増す!?

住宅展示場へ見学に行くと、夢のような世界が広がっています。「こんな大きくきれいな我が家が持てたらいいなぁ・・」と思ってしまいます。中でも「広いリビング」への憧れが強い方は多く、友人知人を呼んでホームパーティや親戚一同の集い、3世代の集合など、大人数の集いは楽しいものです。さらに購入した土地が高台や海沿いなどの最高の眺望が手に入った場合など、リビングで寛ぐ様は時間も忘れて幸せに浸ってしまいそうです。
しかし、「広いリビング」って、そもそも災害に対して「安全」と言えるのでしょうか?

安全とは何か?

ここで一つ、「安全」の基準を明確にしなければいけません。「災害に強い」と同様に、「安全」も明確な基準がなければいけません。
(一社)防災住宅研究所では「災害に強い」ということに関し、次のような基準を作っています。

1. 住宅を襲う様々な災害に対し、全壊、半壊どころか一部損壊もなく家族の安全を確保できる住宅。
2. 災害後も避難所に行くことなく、自宅でストレスのない生活環境が得られる住宅であること。

「安全」の基準も同様で良いのではないでしょうか。
防災住宅研究所が提案している「防災住宅」については、こちらのページをご覧ください

ハウスメーカーの嘘

熊本地震以降、住宅メーカーは「災害に強い」ことを強調していますが、損壊した事実を隠していることが少なくありません。住宅メーカーのカタログを見ると次のような表現がありました。「我が社の住宅は阪神淡路大震災以降の巨大地震で倒壊なし」というものです。皆さんは「倒壊なし」と聞いて「強い」と思ってしまうのでしょうか。言葉の怖いところです。防災住宅研究所では次のように考えます。「倒壊なしということは、全壊、半壊、一部損壊がたくさん存在していたのではないか」ということです。「全壊」していても倒れていなければ、「倒壊なし」と言えるのですから。

熊本地震では新耐震基準で建てられた住宅も多数全壊した

キーワードは「直下率」

さて、話を元に戻しましょう。「広いリビング」が「安全」かどうかということです。
熊本地震後の調査で次の言葉がスポットを浴びました。
「直下率」という言葉です。「直下率」とは、1階と2階がつながっている柱や耐力壁が入っている割合のことで、構造的なバランスを評価する指標として使用されています。1階と2階の同部分に柱や耐力壁があれば当然強度は高くなりますが、つながっていない場合は強度低下が否めません。この「直下率」には「柱直下率」と「壁直下率」があります。

・壁直下率・・・2階建て木造住宅の2階部分の間仕切りの真下に、1階の間仕切り(建具含む)がどれほど存在するのかの割合
・柱直下率・・・2階建て木造住宅の2階の柱の真下に、1階の柱がどの程度存在するのかの割合

この「柱直下率」は60%以上、「壁直下率」は65%以上確保することが推奨されていますが、残念ながらこの「直下率」は耐震基準に何ら反映されていないのが現実なのです。
熊本地震では新耐震基準で造られた住宅も益城町で99棟全壊しており、「耐震等級2」で造られた住宅もその中に含まれているのです。「耐震等級3」で造られた住宅にも「一部損壊」があったことを付け加えておきます。詳しくは、その5へ

その理由に挙げられ、注目されているのがこの「直下率」なのです。開口部が多く、開放的な広いリビングは当然のことながら「直下率」が低い、ということになります。すなわち、「広いリビング」は広くなるほど、「危険度」も増すということになります。
我が家での「楽しさ」を優先させたばかりに「全壊」し、大切な家族の命を失ってしまったのでは本末転倒と言えるでしょう。「我が家」は長年にわたりあらゆる災害から「家族の命を守る」存在であることが使命ではないでしょうか。
では、次は、どうしても災害リスクのあるエリアに家を建てざるを得ないという方が、間取りを工夫することで、被害を軽減できるという話をします。

ハザードマップを見て土砂災害のリスクがあるエリアの方はこちら

<家を建てる人へ:その7>間取り②土砂災害の恐れがある場所に家を建てる人へ

浸水リスクがある方はこちらをご覧ください

<家を建てる人へ:その8>間取り③浸水のリスクがある土地を選んでしまった方へ

津波のリスクがあるエリアの方はこちら

<家を建てる人へ:その9>間取り④津波から命を守るためにできること

上記の災害のリスクのないエリアの方は、こちらを参考にされてください

<家を建てる人へ:その10>後悔しない住宅設備 10選

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